第十八話 お客様第一主義は本当にお客様のためなのか?
私たちの信ずる「真のもてなし」
「お客様第一」という言葉は、長く企業活動の理想とされてきた。
その精神には確かに価値がある。
けれど私たちは、ある問いを胸に抱き続けている。
お客様のために尽くすには、まずその“尽くす心”を育む人々、
則ち、ともに働く仲間や取引先の方々を、誠実に大切にできているのだろうかと。
丁寧な接遇も、心のこもった配慮も、美しい所作も、
それらはすべて人の内面からにじみ出るものだと、私たちはそう信じて疑わない。
もし、その内面が疲れ切っていたとしたら・・・
もし、命令や叱責によって動かされていたとしたら・・・
果たして、そこに本物の“おもてなし”が宿るのか。
私たちの考える「もてなし」の原点は、
現場で働く人が自らの仕事に誇りを持ち、
心にゆとりを持ってお客様と向き合える環境を整えることにある。
職場の中と外で態度を変えることに、
私たちは違和感を覚えるし、それは許しがたいことだ。
お客様の前では笑顔で、社内では苛烈に叱る。
そのような姿勢では、誠実さは届かず、信頼は育たない。
誰に対しても、人として敬意をもって接する。
立場の違いではなく、対等な心と姿勢で向き合う。
そうした一貫した誠実さこそが、組織の根を支え、やがて静かにお客様の心に届くと、
私たちは信じて疑わない。
慣れっこになり、なあなあになると油断する。
その一瞬の隙間が事故のもとにつながる。だから、時には厳しさが必要だ。
しかし、怒鳴っても何の進展も解決もない。
相手の尊厳を守りながら伝える・・・そこにこそ、本物の信頼と成長が宿るのではないか。
お客様を第一にする前に、共に働く仲間を第一に。
取引先の方々を、対等な協力者として敬うこと。
それは単なる順序ではなく、信頼が連なっていく“循環”のはじまり。
大切にされた人は、自然と他者を大切にする。
尊ばれた人は、自らも尊ぶ姿勢を持つ。
そうして生まれる連鎖こそが、真に深く、お客様の心に届くものを育むのだと。
だからこそ、私たちはこう心に決めている。
本当の「おもてなし」とは、まず隣にいる人を大切にすることから。
その姿勢を日々の営みの中で静かに守り、
ゆるぎない信頼の土壌を育てていくことこそが、お客様への真の誠意につながっていく。
これからも私たちは、声高に掲げるのではなく、
静かに、誠実に、人と人とのあいだに、
真の“もてなし”の貯金をしていく。