第十六話 掃除の力
やっていて、本当にいがった
20年前の言葉の贈り物。
ある日、ある花屋の店主にこう言われた。
「成田君、“金なし、コネなし、頭なし”の人間が、
どうやって認められると思う?」
私は答えられなかった。
すると店主は、こう続けた。
「足元をきれいにすることだよ。どこへ行っても掃除。
とにかく掃除をすることだ。
いつか、どこかで、誰かがその姿を見ている。
“こいつは使えそうだな”って思ってくれる人が、きっと現れる。
自分を引き上げてくれるのは、そういう誰かしかいないんだよ」
当時の私は、お金もなく、環境も整っていない状況だった。
でも、掃除だけは、何の苦も無くひたすら、黙々と、続けた。
あれから20年近くが経ち、今、改めて思う。
掃除をやっていて、本当にいがった(良かった)。
もちろん、お仕事をいただけることは何より嬉しい。
けれど、あの花屋の店主からもらった
“言葉のプレゼント”もまた何より嬉しい。
「あの時こうしておいて良かった。」
後になってから分かるものだ。
改めて、ありがとうございます。