ただひたすらに、行動で示す

ある葬儀社に勤めていたSさん。
訳あってその会社を辞めたが、社長のことを深く尊敬していた。

退職後、彼は新聞配達の仕事を始めた。
配達する新聞には、地域のチラシが折り込まれる。
Sさんは、誰に頼まれたわけでもなく、かつて勤めていた葬儀社の広告を、
毎朝こっそり一枚ずつ折り込み続けた。

10年以上、それは続いた。
雨の日も、雪の日も、黙って、淡々と。
「誰が、うちの広告を勝手に入れているんだ」
社内でそんな声が上がったこともあった。
だが、Sさんは名乗らなかった。

ある日を境に、その広告は入らなくなった。
Sさんが、亡くなったからだった。
誰にも知らせず、感謝も求めず、ただひたすら想いを行動で示し続けた人。
それは、言葉ではなく、人生で語る“恩返し”。

——黙して尽くす。
100の言葉より、1の行動。
僕もこの人のように在りたい。