いつも「平らに、平らに」

先入観を持たずに話す。

言葉にすれば簡単だが、これがなかなかできなかった。
なぜか――それは、「こう言えばうまく伝わるだろう」「この人にはこう対応すべきだ」と、
自分の中にある“正解”を準備してしまっていたから。
もっと平たくいうと「えふりこぎ = 秋田弁(かっこつけ)」だった。

過去の経験、先様の肩書、服装、年齢、話し方。
先様に会う前から、「この人はきっとこういうタイプだ」と決めつけ、
そこに当てはめて会話を組み立てようとする。
効率的で、手堅いやり方に思えた。

だが、ことごとくとうまくいかない。
心がかみ合わない。話が深まらない。

結局のところ、人の価値観は、直接会って、
胸襟を開いて話してみなければわからないとわかった。
目を見て、声を聞き、ためらいや間合い(余白)にあるものを感じ取って、
ようやく少しずつ伝わってくるものがある。ほんとに少しずつ。

だからこそ、こちらから型を押しつけてはいけない。
「この考えは間違っている」「自分のほうが正しい」
――そんな気持ちは捨てる。差し出がましいのはだめ。

いつも「平らに、平らに」だ。
まっすぐに、偏りなく、目の前のひとりに向き合うこと。
それが信頼のはじまり。人の価値観を知る唯一の道。