第二十二話 コミュニケーションの取り方はいろいろ
相手を思い、つながる心
喪主は九十八歳。
耳が遠く、耳元で大きな声で話しても言葉は届かない。
だからこそ、目と目でのコミュニケーションが必要だった。
耳が聞こえないため、こちらの話はそのままでは伝わらず、意思疎通も難しい。
しかし、「伝わらない」と諦めるのではなく、どうすれば伝えられるかを考える。
幸い、目はしっかり見える。
そこで、こちらの聞きたいことをパソコンに打ち込み、
画面を見てもらい、意見をいただく方法を取った。
奥様が逝去され、喪主は有料老人ホームに入居中。
体調の都合もあり、葬儀会場へ足を運ぶことはできない。
それでも、「最大限のことをして、妻を送りたい」という強い思いがあった。
打ち合わせは一日おきに、約三時間。
あえて時間にゆとりを持たせた。
それは、ゆっくり考えていただくためであり、
その場では思い出せなかったことも、後から自然と浮かんでくるからだ。
コミュニケーションの形は一つではない。
相手を思い、工夫することで、心は確かにつながる。